脚線美に勝るもの無し



「――って思わない?」
「…宗田…完全に生まれる性別を間違えたな」
「しょうがないでしょう。女の子が可愛いんだから」
「開き直るとか清々しすぎるな」
「でね?脚線美とは――」
「おい頼むから語り始めるな」
「ラインよ、ライン。細すぎても太すぎてもいけないの。ほどよく筋肉がついてて、そう、ししゃも型って意外にいいのよ――」
「(聞くな聞くな聞いたら負けだ)」

(30分後)


「……(げっそり)」
「あっ泉水子ちゃん。お疲れ様」
「真響さん。今ね――」
「うん、なになにー?…」
「……」


「――相楽って案外やらしいのね」
「は?」
「私たちが話している間、泉水子ちゃんの脚を見てなかった?」
「…っ、そう言うなら脚の話なんてするな」
「そうよね、話をするまでもなく相楽は前から泉水子ちゃんを視姦してるわよね。ほんと男ってやらしいんだから」
「……」


女の口からさらりと「視姦」の言葉が出たこと、あながち間違ってもいない男の本能への指摘に、深行は顔を真っ赤にして絶句した。






マンホール踏むと失恋するらしいよ 


「――って知ってた?」
「くだらないな…そんなの迷信だろう。そんなこと言ったら誰も彼も失恋しまくりだぞ」
「まあそうなんだけどね。こないだ失恋したって噂の坂上先輩って、直前にマンホールに落ちたらしいし」
「…どうやって落ちるんだよ…」





「か、神崎先輩かんざきせ ん ぱ い…っ!!」
「どうしたのよ、宗田さん騒々しいわ。ていうか大丈夫?なんでそんなに涙出るほど笑ってるのよ」
「だっておかしくておかしくてたまらないんですよ、もうどうしようあの相楽が、あのすましたむっつり相楽が、」
「ええ」
「マ、マンホールの前で一旦止まって、避けて歩いてたんです!!!」
「ぶーーっ!!!!!!!!」



しばらく、真響と美琴にからかわれることとなる深行だった。


(もうほんと相楽って超うけるよね!!!!)
(見てたのかよ!!!?)





2011.01.16.aoi