「だめ」 「・・・・・え、なんで!?」 「だめったらだめ」 「ただ好きでいさせてって言ってるだけじゃんか」 「それでもだめなものはだめ」 「なんでそんな頑な!?」 「・・・・・・」 「・・・わかんねえ。理由、は?」 「・・・・・好きでいてくれることが苦しいから」 「―――――」 前も言ったじゃない。あんたの気持ちには絶対応えられないって。・・・・忘れたの? 懲りずにそんなこと言ってあたしに拒絶の言葉を言わせてまた傷ついて、そんな自虐的行為を繰り返して・・・・っ ねえ、振りつづける方はつらくないとでも思ってるわけ・・・? だからもう終わりにしてというのだろう。飛鳥の言葉の最後の方は震えていた。 俯きがちな飛鳥のきつく顰められた眉を、一休は黙って眺めていた。 くしゃっと顔を苦しそうに歪めても、ああ綺麗なひとはどんな顔しても綺麗だな、などど場違いなことを思っていた。 つらい、思いをさせている。ただ自分が飛鳥を好きだというだけで。だけど。 「――――――でも、俺は引く気なんかさらさらない」 ふいに流れた低い声に、びく、と飛鳥の肩が震える。 見上げたその大きな瞳には、はっきりと憎悪にも似た感情が映っていた。 眉を大きく吊り上げて、激しく一休を視線でなぶっている。馬鹿じゃないの、と。 こんな瞳を向けられてもなお愛しいと、自分がその瞳に映るならどんな目で見られてもかまわないと思ってしまう自分は もうとっくの昔にイカレてる。一休は心中で自分をせせら笑った。 はっ、上等だ。俺はどこまでもこのひとを好きでいてやる。もう誰にも覆せない。 どこの誰かも知らない神様にだって永遠に無理だ。 たとえ、生涯受け入れてくれることはなくても。 俺はこのひとを好きでいる。 好きでいさせてよ。その許可を君はくれないのかい? * 9円ラフォーレ 08.03.29.aoi |