「相楽くん…」
「っ!?……鈴原どうしたんだよ、こんなところで」
「ごめんね…ちょっとこのままでいさせてほしいの」
「馬鹿、往来だぞ。そういうのは二人っきりの時にしろよ」
「……」(ぎゅっ)
「はあ…。仕方ないからこのままでいさせてやるよ」
「…ありがとう。深行くん、だいすき」
「………恥ずかしいこと言うなよ(あー理性理性理性…)」




「いや、シンコウのがよっぽど恥ずかしい台詞だよね」
「しっ真夏…時には真実を言わない方がいい時もあるのよ」
「だっておれらの前でいちゃいちゃされて迷惑だし」


お題「そういうのは二人っきりの時にしろよ」
デレた。深行さんがデレた。二人きりなら何をしてもいいんですね。そうなんですね?


* fisika



「ねえ、相楽くんってツンデレなの?」
「は?」

ちょっと待て、鈴原の口から変な言葉が出てきた。
誰だ、こいつに妙な入れ知恵したのは。
「あ、私」
おまえかよ!!!

「宗田…頼むから変なこと教えるなよ」
「何よそれ。泉水子ちゃんの保護者じゃあるまいし。それに私は純粋に事実を教えただけよ」
「…事実?」
「そう、事実」
「…誰がツンデレだって?」
「相楽」
「………」

「ねえ相楽くん。ツンデレなの…?誰にデレデレするの?」
「……っ」


おまえだよ、とはとても言えなかった。




真響さん、にやにやするの巻


(あー楽しかった。相楽が真っ赤になって焦って!)





●お互いを動物にたとえてみましょう●

「相楽はあれよね、シェパード」
「真響さん前に言ってたね。それで真夏くんが…」
「「子猫!!」」
「なんだよそれー。じゃ真響はじゃじゃ馬だな」
「ぶっっ」
「ちょっと真夏、なによそれ?相楽も笑わないでよ、失礼ね」
「いや、間違ってないだろ」
「ほんとに失礼!…もう。じゃあ泉水子ちゃんはなんだと思う?」
「ま、真響さん」
「えーなんだろ」
「うさぎじゃないか。びくびくするところがそれっぽい」
「…ほんとムカつくわね、泉水子ちゃんとなったらイイ顔して…」
「気のせいだろ」



気のせいじゃないから言ってるのよ!!


無意識に可愛いタイプをあてがっている深行さんでした





「相楽ってさ、熟女が好みなんだ」
「………はい?」

「泉水子ちゃんから聞いたの。相楽は泉水子ちゃんのお母さんが好きなんだって」
「はあ!?…それ、鈴原が言ってたのか?」
「そうよ」
「はあ…別にそういう意味じゃない。ただ綺麗だし憧れの女性ってだけで」
「大体変わらないじゃない」
「違うだろ」
「女の子にとっちゃどっちも同じよ。ともかく泉水子ちゃん拗ねてたわよー私の前でお母さんにポーッとなるのはやめてほしいって」
「なんでだよ。気にすることないだろ?」
「(うわ無神経発言)解ってないね。泉水子ちゃんが相楽のお父さんにポーッとなってたら嫌でしょう」
「…………」
「……相楽。怖い顔やめて」
「おまえが嫌なもの想像させるからだろ」
「あ、やっぱり嫌なんだ」
「………!」
「そんなに反応するなんて独占欲強いのね」
「…別にそうじゃない」
「ま、よそ見してるとあっという間に大事なものとられちゃうわよ?気をつけてねって話」
「……」




あんまりそわそわしないで

あなたはいつでもキョロキョロ



「とりあえず泉水子ちゃんを差し置いて別のひとに夢中ってのはいただけないわ。病院いってきなさい」
「なんでだよ!」

ラムちゃんならぬ、みゆみこのラブソング。あの歌の歌詞はあてはまると思う
そして墓穴をほりまくるみゆっきーが好き






「おまえ、鈴原のこと買いかぶりすぎだろ」
「何言ってんのよ。泉水子ちゃんはかわいいじゃない。私一目でキュンときたんだから」
「はあ」
「信じてないわね、その様子だと。とにかく泉水子ちゃんはかわいいの。じっくり見ても判らないなら、相楽は眼科に行くべきよ」
「おい、そこまで言うのか」
「言っちゃうわね。相楽はぜんっぜん、泉水子ちゃんの魅力を解ってないんだもの」
「…解ってたらどうだって言うんだ」
「え?」
「いや、なんでも」




空耳かなあ…


(なんかすごいセリフを聞いた気がするんだけど)





「そんなに苦い顔しないでよ、相楽くん」
「してない」
「そう?僕がここにきてもう五日目だよ。いい加減慣れてもいいと思うけど」
「…慣れた」
「その割には僕と目を合わさないじゃないか」
「……合わせてる」
「…はあ、本当に人間ってのは不思議だね。 鈴原さん好みの顔をしていたのが鼻につくからって、僕と接するたび不機嫌にならなくたっていいのにさ」





(別にいつも通りだろ)
(男の嫉妬は見苦しいよ)


和宮の顔は鬼門な深行





「鈴原さんさあ、初めて会った時、流鏑馬の話を出して俺の趣味に乗っかってくれたんだ。すっげえ嬉しかったなー」
「へえ」
「もう、一瞬で心臓わしづかみ」
「本当かよ」
「ほんとだってば。真響と違って触ったら柔らかそうだし、かわいいしさあ」
「今のは俺の聞き間違いか?変な発言が聞こえたんだが」
「だから不思議なんだよな。あんな良い子で可愛いのに、シンコウはよく手を出さずにいられるなって」


ぶほっと、深行の口からコーヒーが飛び出たのだった。




(なっ…に、言ってんだよ、おまえ!)
(うわ、真っ赤)




(初対面で流鏑馬にのってくれた泉水子にキュンな真夏)





そろそろ訴えるぞ



「どうぞご自由に?優秀な相楽のことだもの、神霊による被害をどう説明するか見物だわ。 どうかするとキチガイに思われるってのに勇気あるわよね、あー楽しみ楽しみ」
「…………」





真響vs深行。瞬殺。

* fisika



半殺しは右半分と左半分どっちがいい?



「………できれば頬半分程度に」
「悪いな、それは範囲が狭すぎる」
「狭すぎるってなに!!??いいじゃん、狭くて…!!」





鬼畜深行。哀れ真夏。

* fisika



「俺はおまえを守ってやれない」

突き放したはずだった。別れというには弱いけれど、強い拒絶の言葉。
あいつはきっと泣いて、でもそのくせどこか強気で――
ほら、いつも突き放しても、おまえは。


「――深行くん!」


そうやっておれを離さない。




どれだけさよならを詰め込んでも

(きみは追いかける)



* Rachael



「相楽、泉水子ちゃんを送っていってよ」
「はあ?まだ夕方だぞ」
「いいじゃない、軟弱な相楽でもいないよりましよ。とにかく私は泉水子ちゃんが心配なの」
「……誰があいつに手なんか出すかよ。色気がある訳じゃないし」
「じゃあ相楽が手をつけたその時はロリコンって言ってやるわ」
「なんで俺が手を出す前提なんだ」
「決まってるでしょ、あんたが泉水子ちゃんを意識してるのがバレバレだからよ」
「………」




真っ赤な林檎が舌打ち


(送り狼にはならないでよ)
(なるか…っ!)






「深行くんなんて嫌い」

深行は突然の言葉に目を丸くした。けれど、すぐに余裕たっぷりの笑みを返す。

「うそばっかり」
「〜〜〜〜〜っ!」

嫌い嫌い嫌い、だいきらい!!
泉水子はカッと熱くなった。
確かに今のはほんの戯れだ。けれど、正直これほど悔しい瞬間を、泉水子は知らない。
間髪入れずにあっさり返されたことも気に入らなくて、頬をふくらました。
そんな泉水子に深行は、いつもの優等生顔とはかけ離れた表情でニヤニヤしている。
なぜそんなにいやらしい笑顔をしているの、と問うと、




「鈴原って、ほんとに俺のこと大好きなんだと思ってさ」




昔よりも嘘をつくのが上手になりました

それでも貴方には見抜かれるのでしょうけど



数年たっても一枚上手な深行くんに、泉水子ちゃんは言葉も出ませんでしたとさ



* fisika



まつげが、震えた。
そっと、触れるようにキスを落とした。

「鈴原…」
「…ん…」

いつまでも、俺のこと好きでいろよ。
女々しく子どもじみているとわかっていても、願わずにはいられなかった。



俺を見上げる瞳に、息がつまりそうなほど鈴原が好きだと思わされるから。




愛 し く て 候

(いとしすぎて死にそうだ)


* fisika