※R18です。一応それらしい行為が描かれているので、念のため。
18歳以下の方は申し訳ありませんが、お戻りください。

























作戦、だったわ。だって、私の方が神田を好きな気がして、悔しかったのよ。


朝からアレンくんやラビにばかりかまって、お昼の時も神田も含めて四人でいるものの、神田はおざなり。もちろん、人として最低限の挨拶や会話はしたけれど。 もともと無口な神田は何も言わないから、私が話しかけなければそのままだ。アレンくんやラビとずっと会話を続ける。 そんな私に神田はぴくりと眉を動かしたけれど、黙って蕎麦を食べていた。
さすがにおかしいと目の前に座る二人も気づいたようだけど、瞬時に放った私の笑顔から察したのか、弱々しい笑顔や引きつった笑顔を返すのみで何も言わなかった。 哀れなユウ・・・とラビが、僕もさすがに同情します、とアレンくんが呟いた気がしたけれど、気のせいということにする。


ようやく一日の仕事が終わって、皆とお休みの挨拶を交わす。教団の、寝室につながる長い長い廊下をひとり歩いていた。
さて、神田はどう思ったかしら。にんまり笑ってしまう口を手で押さえる。
ずっと仏頂面の彼だから、何を思ったかは言葉にしないと大概解らない。ああでもお昼の時、低気圧が彼の周りを囲んでいた。 その黒く重たいオーラに、アレンくんとラビがおしゃべりをやめて青い顔をするほどだった。
その神田は一足先に休んでいるはず。これから確かめに行こうか、と考えて私はふふっと小さく笑う。 不機嫌になってくれたなら、それはそれは、っ・・――――!!?


「きゃあっ!?」
「――よう。・・よくも今日は散々俺の存在を無視してくれたじゃねえか」
「か、神田・・!?」


腕を強く引っ張られたかと思ったら、いつのまにか神田の部屋の中、壁に両腕を押し付けられて超近距離に神田の綺麗な顔があった。 ・・・・・・近すぎる。 どう考えても近い。こんなに至近距離で見るのは久しぶりなのはなんでかしらああそうだ、そういえばお互い任務に行って帰ってきたばかりだわ・・・・ぐるぐるとそんなことを考えて眩暈を起こしそうになった。 ふう、と神田の小さな吐息を唇に感じて、カッと耳が熱くなる。


「む、無視、したわけじゃないわ。神田にかまう割合をほんのちょっとアレンくん達に移動させただけよ」
「それが気に入らねえ」
「・・神田、妬いてる?」


そんなはっきり言うなんて珍しい。ねえ、妬いたの?
うっ、と詰まってなかなか答えない神田に、私はなおもそう重ねる。きっと今の私はすごく嬉しそうな顔をしているに違いない。

かん、だ。

数ミリ近づいて、ちゅ、と触れるだけのキスをする。神田の目が大きくなったのが解ってますます嬉しくなった。
――そう、こうしてこの人を動揺させたり振り回したりできるのは私だけでいいと心から願う。それが私のくだらなくても些細な幸せだった。
すると両腕の拘束がふっと解け、腰と頭に力強く手が回された。その勢いのまま私の手も神田の背中にまわり、きつくすがりついた。 熱い、熱い深いキス。何度も角度を変えて唇や舌を味わうように食べられた。ふっ、んあ、と時々、私の口からだらしなく声が漏れる。
―――そうよ、もっと私を食べて。心から私を愛してくれなきゃいや!


「ねえ、神田」
「あ・・?」
「あっ、んぅ・・っ、はあ、ふ・・やき、もち、妬いてくれた?」
「・・てめえやっぱりわざとか」


もちろん!でなきゃ神田をほっといたりしないわ。・・・ねえ、神田。あせって、くれた?
ベッドの上に移動したあと、首から胸へとだんだん落ちてゆくいくつもの刺激的な愛撫に甘い息を吐きながら、笑って聞いた。とたんに無言になる神田。
ちょっと神田・・そこで黙ったってもう今さらじゃない?ここまでしたら答えは明白だって判りきってる、でも私はあなたの口から聞きたい。
動く神田の手をとどめて、上半身を起こして神田のシャツの前を開ける。 戸惑う神田の声を無視して、神田の肌にさら、と手を滑らせる。・・綺麗な肌。筋肉がついてたくましいのに、白くて透明で、このギャップがまた私を恍惚とさせる。 そのまま、神田の胸に唇を寄せた。ちゅ、と音を立てて啄んだり舌でそっと舐めれば、あせった声が聞こえる。
やめろ、と言うけれど、あなた感じてるじゃない。
ちろ、と見上げれば、さっきとは違って余裕のない顔があった。快感に耐えようとしてる神田が見られて嬉しくて、今度は手を下に伸ばした。 おいリナリー!と彼が鋭く叫ぶけれど、お構い無し。
――私、聞いたでしょ?ちゃんと答えてよ、ね。
ズボンから取り出した彼の分身に這わせた手を艶かしく動かして、もう一度聞く。


「ねえ・・どうなの?言ってくれなきゃ解らないわ」
「う・・あっ、くっ・・」
「神田?」
「あ・・っ、う」
「神田・・可愛い。でも、言わないとやめちゃうよ?やめてほしくないでしょ?」
「う、ぐっ・・!、・・ああ・・悔しいが・・妬けた」
「ほんと?どうして?」
「な・・っ!?言わせんのか、!」
「言って?」

手をぴたっと止めて、にっこり笑ってダメ押し。神田は真っ赤な顔をしながら、手を止めた私を恨めしそうに睨んだ。 私たち、面白いくらいお互いの欲望に忠実に出来てるわね、と笑いそうになった。
ねえ、神田?首を傾げると、神田が観念したように呟いた。林檎のような顔を私から必死に逸らしながら。


「・・――んなの決まってるだろ、・・おまえは、俺のものだ」


――やっと。やっと聞けた。
神田、大好き!そう言って彼に抱きついた。溢れんばかりの歓喜のオーラが私を包む。今ならどんなこともできると思えるくらいにこの上なく幸せだった。
大好き大好き神田、その一言が聞きたかったの。意地悪して、ごめんね。
そう言うと、神田は顔をさらに赤くした。少し戸惑ったあと、ぎゅうぅと力強く抱きついている私を数拍おいてようやく抱きしめ返す。そして、ポツリと呟いた。

「・・・二度とこんな真似はするなよ」

しないわ、・・神田が時々私をすごく好きな事、証明してくれれば、ね!
その言葉に神田は少し目を見張り、小さく息を吐いて善処する、と言った。私はクスクス笑ってより強く抱きしめる。
どのくらいそうしていただろう。ずっと抱き合っていたが、しばらくすると少し身体が離され、彼はにやりと笑った。
めったにない彼の笑顔、それも妖しげな笑みに私はたちまち凍りつく。今までした自分の所業を振り返り、青ざめた。――まずい。 無理言って従わせたくせに、自分の喜びだけでいっぱいになって抱きついたりして・・・・・。男のプライドを傷つけてもいるような気がした。
私は渇いた笑みをもらすしかなかった。神田の一層低い声が告げる。


「今日は長い一日だったな・・俺を振り回すなんて、おまえはほんといい度胸してるぜ」
「か、神田・・あ、あのね」
「言い訳は無用だ。・・夜は長いからな。たっぷり身体で謝ってもらおうか」


イイ声で啼けよ、と言った彼の楽しそうな声を最後に、世界は暗転する。
のしかかられて再開した彼の愛撫に甘く翻弄されながらも、それでも私は思う、いい一日だったと。
思ったよりも愛されていること、こんなにもこんなにも愛してくれる愛しい人の可愛い一面を発見できたのだから!









無機質な貴方も案外可愛く鳴くのね



(ますますあなたの虜、)







08.11.09.aoi

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リナ神リナですね。やっちまいました。でも後悔はしてません(ぇ)

ディグレでは一番好きなカプです。原作ではさすがにこんなドSなリナリーさんはないと思うんですけど。 むしろ神田に責められるピュアなリナリーさんてのが本当だと思うんですけど。ええ。
でもこういうのもアリかなあと。神田限定でしか当てはまりませんが。