いつだったっけか、とりあえずうんと小さいころ。
オレたちはひとつの指きりを交わした。



その約束を守れない未来がくるかもしれないなんて、思わなかった。







「アン、おいっアンしっかりしろよ・・・っ!!」
「、キュー・・・、」
「なんでだよ、なんでおまえがこんな目にあわなきゃならないんだよ。罰を受けるのはオレでいいのに、なんでアンが・・・っ」

なんで、なんでオレをかばったんだ。オレが消えるはずだったのに。

「やめて、キュー・・。キューは、さ。ほんとは誰よりも純粋、じゃない。だから、誰かを憎む、とか、似合わないから。 真っ黒な羽、じゃなくて・・・白い羽がいい、と、思う、よ」
「いいもうしゃべるな、希望がなくなっちまう。オレはアンが死ぬなんていやだ」
「ふふっ、・・・ほら。普通、悪魔は”希望”なんて言葉、使わないよ・・・」
「・・・・っ・・・」
「・・・ねえ、キュー。笑って・・?最後に笑った顔、見た、い」
「最後とか言うな!・・・おい、・・おい!?アン!アン!!」
「キュー・・・・・あの、ね・・わたしキューのこと――――・・・」
「アン!!!・・・・・アン、・・・く・・ッ、うそだ、ろ、・・いなくなるとか嘘、だろ・・・」



だって約束したじゃねえか。オレ、ずっと覚えてた。

そんな言葉、最期に残して逝くなよ。
























「―――――――ていう夢を見たんだけど」
「・・・・・・・・・・・」

現在、AM4時半。キューは杏子のベッドの上に正座をしていた。 杏子は起き上がっているものの、起こされてむっつりとしている。
そして次の瞬間、威勢のいい音とともに杏子のツッコミが炸裂した。

「アホか!!!!!」
「だっっっっっ!!!!!!!」
「なんでわたしが死ぬ夢なのよ!しかも悪魔のあんたと仲良いのがばれて罰を受けるとかあるかそんなの!! 神様と魔王様は超仲良しだっつの!!ふたり最強タッグを組んで世の中平和にまわってるわよ!!!」
「そ、そうだよな?それが現実だよな!?ありえない設定だけどそれが現実だよな!」
「設定とか言わない!・・・なに、あんた本当に夢か確かめたくてこんな朝早くからこっちに来たわけ?」
「(やばい)え・・えへ、こ、怖い顔しないでアンちゃん☆」
「今何時だとわかってりゃ常識のあるひとは来ないはずなんだけど?ねえ?」
「あああああいますぐ帰るからもうぐっすり寝て、な!な!?」
「バカキューのせいですっかり目覚めちゃったよ。いいよ、もう。ほら、入る?寒いでしょ」
「・・・・・・!!!ア、アンチャンたら大胆・・!なに、誘ってるnふがっっっ!!!!」
「なに言ってんの。それを言うならあんたがここに来たのも夜這いみたいなもんでしょ、本来なら」
「アン、実はそういう願望が」
「ふざけたこと言うなら今すぐそこの窓から落とすよ、その羽もぎとってね」
「(ひいいいいいい!!!!)すみませんでした」
「よろしい。・・ほら入るの入らないの、どっち?」
「(こいつほんとに天使か?生まれてくる世界を間違ったんじゃあ・・)」
「 な に ?」
「なななんでもないって!!・・・・・・・・・・入らせていただきます」
「ん」

そっと杏子の布団の中にすべりこむ。ほんのりあったかくて、彼女に触れていないけれど彼女に触れている気がした。
隣の杏子は胸の下に枕をはさんで、肘を立てながら小さな本を枕もとにある目前の棚から出そうとしている。 腕と腕がちょっと動いただけで触れ合いそうな距離だというのに、まったく気にする様子がない。

(・・・・・なんだよ、どきどきしてんのはオレだけ、かよ)

どうやらそのようだ。意識してるのは自分だけとか哀しすぎて、朝から心の中で泣いた。
ふわり。
ふと彼女の香りがこっちにただよう。太陽のようなあったかいにおいだ。

(あーもうまったく・・・ほんとに襲っちまうぞ)

自然と高鳴る心臓をおさえて、キューはふっと今朝の夢を思い出す。
その瞬間どこか底のほうから冷たいものが這い上がってきた。
自分の腕の中で杏子が死ぬなんてぞっとする。 どれだけ、その夢が自分にとって怖くて怖くて、いますぐ杏子を確かめたくてしかたがなかったかなんて、彼女には判らないのだろう。 飛び起きた瞬間、泣いてたことも、夢の中の彼女の最期の言葉が自分をどれだけ熱くさせたかも知らない。

(・・・〜〜〜〜〜〜〜っ!!!)

「あれ、キュー?どうしたの、あんた顔真っ赤だよ。まさか風邪ひいたんじゃないだろうね」
「、え!?あ、いやいやいやいや大丈夫だって、なんでもないって!!」
「そう・・・・?ならいいけど。一応気をつけてよ」
「ああ・・」
「あ、そうだ。ねえ、最後にわたし何て言ったの?」
「んぐっ、がっ、げほげほがほっ」

まさにタイムリーな質問に思わずキューは詰まってむせた。

「ちょ、キュー、大丈夫!!?やっぱあんたなんかおかしいよ」
「い、いや・・・・言えねえ、よ」
「えーーー!?なにそれ、気になるから言ってよ!」
「やだ!言いたくない!!」
「言・え!!!」
「いやだーーー!!!」
「・・・・・・・」
「ひゃっ、わはっはは、あひゃひゃ、やめてやめてくすぐるのやめてギャーーーーギブッ、ギブーーーー!!!!」

















ねえ、小指と小指からませてもう一度約束しよう。

今度こそ。今度こそ絶対離れないって誓おう。永遠に。













た っ た ひ と つ の 恋 だ か ら



(まもりつづけたい)









おまけ

07.12.22.aoi
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天使ぷらす悪魔な話。せ、世界観が判りづらい。
ちなみにここでは杏子=アンとさせてもらいやした。 会話以外は"杏子"としたので読みづらかったかもしれませんが・・・。
だって"アンコ"ってなんか、ねえ。見ててちょっと、ねえ(笑)

これは尊敬するスムセさまが日記でこのパラレルネタを口にされたことから生まれた話です。
考えると意外に萌えて(おい)即座に「書きたいです!!」と声高らかに宣言しちゃったんですよね(笑)
これ書いててほんと楽しかった。パラレルって楽しいね(いい笑顔)

ネタを提供してくださったスムセさまに感謝です。
ありがとうございました!